質の高い睡眠で“毎晩リセット”する体へ:不眠の見極め方と6つのスリープハイジーン
経済の不安や世界情勢のストレスで、つい「寝る時間を削ってでも頑張らなきゃ」と思ってしまいがちですよね。けれど、実は“ちゃんと眠ること”こそが、心と体でどんな危機がきても戦えるための大事な武器。
タイのโรงพยาบาลนวเวช(Navavej Hospital)のศูนย์ปราณ(プラーンセンター)で一般診療を担当する พญ.นัยนา เงินมาก 医師が、「眠りの質」と「眠り方」についてわかりやすく教えてくれています。
毎晩の眠りを、細胞レベルで自分を修復する“ゴールデンタイム”に変えるヒントを、一緒に整理していきます。
不眠?それとも「眠り方」を忘れているだけ?
まず気になるのが、「私って不眠症なのかな?」というところ。医学的に“治療が必要な不眠(Insomnia)”とされるには、3つの条件がそろうと言われています。
1つ目は「眠りの質が悪いこと」。具体的には、寝つきが悪い、夜中に何度も目が覚める、早朝に起きてしまい疲れが取れない、といった状態です。
2つ目は「日中の生活に影響が出ていること」。日中ずっとだるくてスッキリしない、集中力が続かない、イライラしやすくなるなど、起きている時間のパフォーマンスが下がっている場合です。
3つ目は「慢性的に続いていること」。週に3日以上、しかも3か月を超えて続いていることが目安とされます(ほかの精神疾患がない場合)。
また、なかには「Paradoxical Insomnia(パラドキシカル・インソムニア)」と呼ばれる、“眠っているのに眠っていない気がする”タイプもあります。
これは、実際には体は休めているのに、「一晩中ほとんど眠れなかった」と感じてしまう状態で、心の奥にある不安が深く関わっているとされています。
「眠れない」と感じたとき、自分がこの3つの条件に当てはまっているのか、あるいは“眠り方を忘れているだけ”なのかを、一度ていねいに見直してあげることが大切です。
睡眠不足が招く“健康の借金”とそのリスク
大人にとって理想的とされる睡眠時間は、7〜9時間といわれます。これを下回る生活が続くと、ただ朝のスッキリ感がなくなるだけではなく、“健康の借金”をコツコツ貯めてしまうことに。しかも、その利息はかなり高めです。
まず大きいのが「心臓と血管」への影響。睡眠不足は心不全や血管の狭窄(動脈の詰まり)のリスクを有意に高めるとされています。見えないところでじわじわ進む変化なので、自覚しにくいのも怖いポイントです。
「免疫のバリア」も弱くなります。特に1日6時間未満の睡眠が続くと、体を守るシステムが十分に働きにくくなり、感染症などにかかりやすくなるとされています。
脳にとっても、睡眠不足は“静かな脅威”です。アルツハイマー病、うつ病、不安障害との関連が指摘されており、とくに思春期・青年期のメンタルにも影響しやすいとされています。
代謝面では、空腹を感じさせる「グレリン」というホルモンが活発になり、満腹を伝える「レプチン」が抑えられる方向に傾きやすくなります。その結果、血糖値が上がりやすくなり、太りやすい体質に傾きやすくなってしまいます。
さらに「がんリスク」との関係も無視できません。睡眠不足は乳がんの発症と関連しているとされており、平均寿命を短くする方向に働く可能性も示されています。
“ちょっと寝る時間を削るだけ”のつもりが、長い目でみるとかなり大きな代償につながることを、頭の片すみに置いておきたいところです。
よく眠れたときに起こるうれしい変化
一方で、しっかり眠ることは“自分への最高の投資”ともいえます。質の高い睡眠を十分にとれた翌朝、頭がクリアで肌の調子もいいなと感じた経験、ありますよね。
まず「脳」へのメリットとして、学習能力や記憶力が高まり、クリエイティブな発想もしやすくなるとされています。新しいことを吸収したいときや、アイデアが必要なときこそ、ちゃんと眠ることが大切です。
「体」の面では、免疫が整えられ、インスリンのバランスも調整されやすくなり、体重コントロールもしやすくなるといわれています。ダイエットやボディメイクを頑張りたいときほど、睡眠の質をおろそかにできません。
さらに、「心臓と血管」にも良い方向の変化が期待できます。十分な睡眠は血圧を下げる助けになり、血管のバランスを整える方向に働くとされています。
こうしてみると、“ちゃんと眠る”ことは、ビューティー、ウェルネス、メンタル、すべてを底上げしてくれるベースケアのような存在だと感じられます。
質の高い睡眠のための6つの鍵(スリープハイジーン)
質の高い睡眠のために意識したい、6つの基本的な習慣=スリープハイジーンが紹介されています。どれも今日からトライしやすいものばかりです。
1つ目は「Light(光)」です。日中は10〜20分程度、しっかり日光を浴びて、体内時計をリセットしてあげることが大切。逆に夜は部屋をできるだけ暗くし、寝る60〜90分前からスマホやパソコンなどの画面を控えるようにします。
2つ目は「Mind(心)」。寝る前に瞑想(Meditation)を取り入れ、呼吸に意識を向けることで、頭の中のざわざわを一度手放し、心を落ち着かせてから眠りに入りやすくします。
3つ目は「Biological Clock(体内時計)」。平日・休日にかかわらず、できるだけ毎日同じ時間に寝て、同じ時間に起きるリズムを守ることがポイントです。どうしても昼間に眠くなったときは、30分以内の短い仮眠ならOKですが、午後3時を過ぎてからの昼寝は避けるようにします。
4つ目は「Diet(食事)」。午後以降のカフェインは控えめにし、アルコールも摂りすぎないようにします。お腹がパンパンな状態や、逆に空腹すぎる状態でベッドに入るのも避けた方がよいとされています。
5つ目は「Move(動き)」。適度な運動を習慣にすることは、良い睡眠の味方になりますが、寝る直前の激しい運動はNG。就寝の少なくとも3時間前までに切り上げて、体温がゆっくり下がっていく時間をつくることが大切です。
6つ目は「Environment(環境)」。寝室は「涼しく・暗く・静か」に整え、ベッドは“眠るための場所”としてキープすることがすすめられています。ベッドの上で仕事や長時間の動画視聴をするのは、できるだけ控えた方がよさそうです。
これらのポイントは、すべてを完璧にこなさなくてもOK。自分が続けやすいところから少しずつ取り入れていくことで、少しずつ“眠りグセ”をリセットしていくイメージです。
セルフケアで改善しないときは、医師に相談を
生活習慣を工夫しても、「やっぱり眠れない」「日中のつらさが変わらない」というときは、我慢を続けるよりも医師に相談するのが近道です。
睡眠の悩みは、原因も体質も人それぞれ。個別にきちんと診断してもらうことで、より自分に合った対処法が見つかりやすくなります。
โรงพยาบาลนวเวชのศูนย์ปราณは、予防の視点から健康を支え、「健康寿命をのばす医療(Longevity Medicine)」に力を入れているセンターとして紹介されています。
同院は 2025年にAACI(American Accreditation Commission International)の認証を取得し、同じく2025年には妊産婦医療の分野である「AACI Clinical Excellence Certification Maternity Services」も認証されています。さらに、ISO 7101:2023(Health Care Organization Management)とISO 9001:2015(Quality Management Systems)という国際規格の認証も受けており、医療の質とマネジメントの両面で一定の基準を満たした医療機関です。
眠りの質は、心と体のコンディションに直結します。一人で抱え込みすぎず、必要なときは専門家のサポートも上手に取り入れていきたいですね。
まとめ
眠る時間を削ることは、短期的には“頑張っている証”のように感じても、長期的には心と体への“健康の借金”を増やしてしまいます。
一方で、日中の光の浴び方、寝る前の心の整え方、食事や運動、寝室の環境といった6つのポイントを意識することで、毎晩の眠りを自分を修復する“リセットタイム”に近づけていくことができます。
それでもつらい不眠が続くときは、無理に根性論で乗り切ろうとせず、医師に相談して自分に合ったケアを見つけることも大切です。
質の高い睡眠を味方につけて、タイでの毎日を、もっとヘルシーで心地よいものにしていきましょう。
よくある質問(FAQ)
Q1. 医学的に「不眠」とされる条件は何ですか?
A1. 眠りの質が悪い(寝つきが悪い・途中で何度も起きる・早朝覚醒で疲れが取れない)、その結果として日中にだるさ・集中力低下・気分の不安定さなど生活への支障が出ている、そして週3日以上・3か月を超えて続いている(他の精神疾患がない場合)という3つの条件がそろうと、医学的に不眠(Insomnia)として対処が必要とされています。
Q2. 睡眠不足は心臓や血管にどんな影響がありますか?
A2. 推奨される7〜9時間より短い睡眠が続くと、心不全や血管の狭窄(動脈の詰まり)のリスクが有意に高まるとされています。血圧にも影響し、心臓と血管のバランスを崩しやすくなる可能性があります。
Q3. よく眠れたとき、体にはどんな良い変化が起こりますか?
A3. 十分で質の高い睡眠がとれると、学習能力や記憶力、創造性が高まり、免疫機能の回復、インスリンのバランス調整、体重管理のしやすさにもつながるとされています。また、血圧を下げる助けになり、血管のバランスを整える方向にも働くとされています。
Q4. 質の高い睡眠のための「6つの鍵」とは何ですか?
A4. 6つの鍵は、①日中は日光を浴び夜は暗くして画面を避ける「Light(光)」、②寝る前の瞑想などで心を落ち着かせる「Mind(心)」、③就寝・起床時間をそろえ、昼寝は30分以内・午後3時前までにする「Biological Clock(体内時計)」、④午後のカフェインや飲酒を控え、満腹・空腹すぎを避ける「Diet(食事)」、⑤就寝3時間前までに運動を終える「Move(動き)」、⑥涼しく暗く静かな寝室環境を整え、ベッドは眠るためだけに使う「Environment(環境)」の6つです。
Q5. 生活習慣を整えても眠れないときはどうすればよいですか?
A5. スリープハイジーンを実践しても改善がみられない場合は、自分だけで抱え込まず、医師に相談して個別に診断を受けることがすすめられます。ศูนย์ปราณ โรงพยาบาลนวเวชのように、予防医療や健康寿命の延伸(Longevity Medicine)に取り組む医療機関では、睡眠を含むトータルな健康サポートが行われています。
参照元:โรงพยาบาลนวเวช
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