メニエール病と“ぐるぐるめまい”──内耳で起きていることを知ろう
急に景色がぐるぐる回るような「めまい」が出て、しばらくしたら落ち着いたから「もう大丈夫かな」と思ってしまうこと、ありますよね。
でも、そのあとも耳鳴りや耳のつまった感じ、聞こえづらさが続くなら、内耳のトラブルが進行しているサインの可能性があります。
そんな「めまい」と「耳の症状」がセットで繰り返し起こる病気のひとつが、内耳の異常による「メニエール病(Meniere’s Disease)」。タイのプララム9病院の耳鼻咽喉科専門医による解説をもとに、ポイントを整理していきます。
メニエール病とは?内耳の液体異常で起こる病気
メニエール病は、耳の奥にある「内耳」の液体バランスが乱れることで、聴こえと平衡感覚の両方に影響が出る病気です。
専門的には、内耳の液体が異常な状態になる「Endolymphatic Hydrops」という状態と関係しているとされています。
内耳のなかの圧力が変化すると、音をキャッチする部分と、からだのバランスを感じとる部分、両方の働きが乱れます。
そのため、ぐるぐる回るようなめまい(いわゆる「บ้านหมุน」)と、耳鳴りや聞こえづらさなどの聴こえの異常が同時に出ることがあります。
特徴的なのは、症状が「ずっと続く」というより「発作のように出たりおさまったり」を繰り返すこと。
最初は耳が詰まったように感じたり、耳鳴り・雑音が気になったり、「なんとなく聞こえにくい」感覚が出てきて、その後に強いめまいが続くケースもあります。
原因はまだはっきりとは解明されていませんが、いくつかの仮説が挙げられています。
免疫の異常、内耳の液体コントロールの問題、特定の感染症、さらに一部の人では遺伝的な要因などが関わる可能性がある、とされています。
子どもから大人まで幅広い年代で起こりえますが、とくに成人から中年くらいで見つかることが多く、男女どちらにも起こる病気です。
メニエール病の主な症状と“見逃しがちなサイン”
メニエール病でよくみられるのは、「めまい」と「耳の異常」がセットで現れるパターンです。
特にチェックしたいのは次のようなサインです。
めまいは、周囲が激しく回転しているように感じて、立ったり歩いたりするのがつらくなるほど強い場合があります。
この「ぐるぐるめまい」は一度出ると、20分ほどで収まる場合もあれば、12時間程度続くこともあるとされています。多くの人で、吐き気や嘔吐をともなうこともあります。
同時に、耳にはこんな変化が出ることがあります。
耳が詰まったような圧迫感・「パンッ」と張った感じ、耳鳴りや耳の中での雑音、聞こえが落ちたような感覚などです。こうした耳の症状が、めまいの前ぶれとして先に出てくる人もいます。
気をつけたいのは、「めまいが治まった=完治」ではない、ということ。
ぐるぐるする感じが消えたあとも、内耳の異常が残って聴こえに影響しているケースがあります。とくに、耳鳴り・耳のつまった感じ・聞こえづらさが、めまいとセットで繰り返し出ているなら、早めに耳鼻咽喉科で評価を受けることが勧められています。
一部の患者さんでは、病気の進行とともに徐々に聴力が落ちていき、戻りにくい聴力低下につながる場合もあるとされます。
だからこそ、「めまいが一度おさまったから大丈夫」と自己判断して放っておかないことが大切です。
“ぐるぐるめまい”=メニエール病ではない:BPPVとの違い
耳鼻咽喉科専門医のนพ.พงศธร โตวิวัฒน์医師は、「『บ้านหมุน(ぐるぐるめまい)』はあくまで“症状の名前”であって、病名ではない」と説明しています。
つまり、めまいがあるからといって、必ずしもメニエール病とは限りません。
めまいを起こす病気・状態はいくつもあり、そのなかでもよくメニエール病と混同されるのが「BPPV(Benign Paroxysmal Positional Vertigo)」です。
BPPVは「耳の中の石(耳石)のかけらが動いてしまう」ことで起こるタイプのめまいで、頭の向きや姿勢を変えたときに症状が出やすいのが特徴です。
具体的には、寝返りを打ったとき、ベッドから起き上がるとき、下を向いたり上を見上げたりしたときなど、頭の位置を変えた瞬間に、短時間のぐるぐるめまいが起こりやすいとされています。
BPPVでは、一般的に「めまいは短時間」で、「聴力の低下はともなわない」ことが多いとされています。
一方、メニエール病は、めまいが「自然に発作的に起こる」ことが多く、そのときに耳鳴り、耳の圧迫感、聞こえにくさなどの耳の症状が一緒に出ることが特徴です。
そのため、医師は「いつめまいが起こるのか」「どのくらい続くのか」「耳の症状が一緒にあるか」をとても大事な手がかりとして問診します。
ただし、症状だけで自分で病名を決めてしまうのは危険です。
めまいの原因は一人ひとり違う可能性があり、最終的な診断は医師による問診と検査を組み合わせて行う必要があります。
メニエール病の診断と医療でできること
診断のステップでまず行われるのは、詳しい問診です。
めまいの起こり方、続く時間、どのくらいの頻度で出るのか、耳鳴り・耳のつまった感じ・聞こえづらさの有無や変化などを細かく確認していきます。
そのうえで、身体診察やバランス機能のチェックが行われます。
重要な検査のひとつが「聴力検査(Audiometry)」で、音を感じ取る神経のタイプの難聴があるかどうか、またメニエール病に特徴的なパターンかどうかを評価します。
必要に応じて、バランスの検査や、似た症状を起こすほかの病気を除外するための検査が追加されることもあります。
治療の大きな目標は、
・めまい発作のコントロール
・発作の頻度と重さをできるだけ減らすこと
・聴こえを守り、日常生活の質を保つこと
にあります。
急に強いめまいが出たとき(急性期)には、吐き気や嘔吐、めまい感を和らげるための薬が使われることがあります。
長期的な治療は、症状や病状の重さに合わせて個別に検討され、まずは内服薬などのベーシックな治療が選ばれます。
それでもコントロールが難しい場合、医師が適切と判断すれば、鼓膜の奥の中耳を経由して薬を届ける方法など、別の治療方針が検討されることもあります。
さらに一部の患者さんでは、処置や手術が選択肢になることもありますが、その際には、どれくらい効果が見込めるかだけでなく、リスクや聴こえへの影響もしっかり考慮されます。
日常生活でできるメニエール病ケアのポイント
メニエール病ケアでは、医療による治療に加えて、ライフスタイルの調整も大切な要素とされています。
とくに内耳の液体バランスを意識した「塩分との付き合い方」がポイントに挙げられています。
意識したいのは「食塩・ナトリウムをとりすぎない」こと。
塩分の多い食事を控えめにし、ナトリウム量をコントロールする工夫が勧められています。具体的には、加工食品、発酵食品、インスタントラーメン、スナック菓子、ナトリウムの多い調味料などをとりすぎないようにすることが示されています。
同時に、生活リズムも大事なポイント。
しっかり休息をとり、睡眠不足や徹夜を避けること、無理のない範囲での運動、ストレスケアなどが勧められています。
人によっては、特定の行動や生活パターンがめまい悪化のきっかけになっていることもあるため、「どんなときに症状が出やすいか」を自分なりに観察しておくことも役立ちます。
こうした日常の工夫は、あくまで医師の診察や治療を補うサポート的なもの。
耳鳴りや聞こえの変化、ぐるぐるめまいが気になるときは、自己判断で様子見を続けるより、一度耳鼻咽喉科で相談しておくほうが安心です。
まとめ
ぐるぐる回るような強いめまいは、それだけでもかなりつらい症状ですが、「一度おさまったからもう平気」とは限りません。
とくに、めまいと一緒に耳鳴り・耳の詰まった感じ・聞こえづらさが出ていて、それが繰り返し起こるなら、内耳の液体バランスの異常によるメニエール病などが隠れている可能性があります。
問診や聴力検査などでしっかり評価し、めまい発作をコントロールしながら、聴こえを守っていくことが大切です。
塩分を控えめにする食生活、睡眠やストレス管理など、日常でできるケアもあわせて取り入れつつ、不安な症状があるときは早めに耳鼻咽喉科で相談していきましょう。
よくある質問(FAQ)
Q1. メニエール病でよくみられる症状は何ですか?
A1. 周囲が激しく回るような「ぐるぐるめまい」と、耳鳴り、耳のつまった感じ、耳の圧迫感、聞こえの低下などの耳の症状がセットで出ることが多いとされています。症状は発作的に出たりおさまったりを繰り返し、一部の人では進行とともに聴力低下が進むこともあります。
Q2. めまいが一度おさまれば、もう安心してよいのでしょうか?
A2. めまい自体はいったん落ち着くことがありますが、それで「内耳の異常が完全に治った」とは限りません。耳鳴りや耳の圧迫感、聞こえにくさが残ったり、めまいが何度も再発する場合は、早めに耳鼻咽喉科で原因と聴力の状態を確認しておくことが勧められています。
Q3. メニエール病とBPPV(耳石のトラブルによるめまい)はどう違いますか?
A3. BPPVは、寝返りを打つ、起き上がる、下を向く・上を向くなど「頭の向きや姿勢を変えたとき」に短時間のめまいが起こりやすく、一般的には聴力低下をともなわないとされています。一方メニエール病は、めまいが自然に発作的に起こることが多く、その際に耳鳴りや耳のつまった感じ、聞こえづらさなどの耳の症状をともなうのが特徴です。
Q4. メニエール病はどのように診断されますか?
A4. めまいの起こり方・続く時間・頻度、耳鳴りや耳の違和感、聴こえの変化などを詳しく聞き取る問診と、身体診察・バランス機能のチェックが行われます。さらに、聴力検査(Audiometry)で、音を感じる神経タイプの難聴があるか、メニエール病に矛盾しないパターンかどうかを評価し、必要に応じてほかの検査で似た病気との鑑別も行われます。
Q5. メニエール病のケアとして、日常生活で気をつけたいことはありますか?
A5. 医療による治療に加えて、塩分やナトリウムをとりすぎない食生活が勧められています。とくに、加工食品、発酵食品、インスタントラーメン、スナック菓子、ナトリウムの多い調味料などを控えめにすることが挙げられています。また、十分な休息をとり、睡眠不足を避け、適度な運動やストレスケアを心がけ、自分自身で「どんなときに症状が出やすいか」を観察しておくことも役立つとされています。
参照元:https://praram9.com/th/medical-center/ear-nose-throat-center-th(ที่มา: โฟร์ ฮันเดรท)
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