タイ在住日本人必読:心房細動と新治療PFA
心房細動とPulse Field Ablation(PFA)―タイで知っておきたい新しい選択肢
なんとなくドキドキが続いたり、心臓がリズムよく打っていない気がしたり、理由もないのにすぐ疲れてしまう…。そんなサインが実は「心房細動(Atrial Fibrillation: AF)」と呼ばれる不整脈の一種につながることがあります。
最近タイでは、このAFに対して「Pulse Field Ablation(PFA)」という新しい電気エネルギーを使った治療が注目されています。ここでは、AFの特徴と、PFAがどんな治療なのかをやさしく整理しておきます。
心房細動(AF)のサインと放置によるリスク
心房細動(AF)は、心臓のリズムが乱れる「不整脈」の中でも、とてもよくみられるタイプとされています。特徴的なのは、心臓が「トクトク」ではなく「バラバラ」と不規則に動いてしまうこと。その結果として、次のような自覚が出ることがあります。
心臓が急にドキドキして落ち着かない感覚や、鼓動が飛んでいるような違和感が続く場合、心房細動の一つのサインになり得ます。また、階段を少し上がっただけなのに妙に疲れる、いつもより息切れしやすいのに原因が思い当たらない、という「理由のわからない疲れやすさ」も、AFと関係している可能性があります。
AFをそのままにしてしまうと、「出たり消えたりする初期のAF」から、「続いたままの慢性的なAF」へと進行していくことがあります。この変化にともなって、心臓がうまく働かなくなり、心不全のリスクが高まるおそれがあります。また、AFがあると、心臓の中に血のかたまり(血栓)ができやすくなり、それが飛んで脳の血管をふさぐと、脳梗塞などの「脳卒中(Stroke)」につながる危険も指摘されています。
こうした背景があるため、AFは「よくある不整脈だから大丈夫」と軽く見るのではなく、きちんと医師に相談して評価してもらうことが大切とされています。
Pulse Field Ablation(PFA)の仕組みと特徴
心房細動の治療の選択肢のひとつとして、タイでも導入が進んでいるのが「Pulse Field Ablation(PFA)」という新しい技術です。名前の通り、“パルス状の電気の場(電場)”を使って、心臓の異常なリズムを起こしている部分をねらって治療する方法です。
PFAでは、非常に高い電圧の電気エネルギーを、ごくごく短い時間(マイクロ秒単位)だけ心臓に与えます。この一瞬の電気刺激によって、心房細動の原因となっている異常な心筋細胞だけを選択的に傷つけることをめざします。ポイントは、「異常な細胞に的を絞る」という考え方で、できるだけピンポイントで影響を与えるよう設計されていることです。
もう一つの特徴は、「熱さ」や「凍らせる力」を直接使わないタイプの治療という点です。PFAは電場を利用するため、周りの組織に強い熱や強い冷却を加える必要がありません。そのため、治療のターゲットではない近くの組織、例えば横隔膜を動かす神経(横隔神経)や、心臓のすぐそばを通る食道、静脈などに対する影響を、軽減することが期待されています。
さらに、PFAは比較的短い時間で治療が完了しやすいとされています。治療にかかる時間が短くなると、その分だけ回復に必要な時間もコンパクトになり、入院や安静にしている期間が短くて済む可能性があります。忙しく働いている方や、家族のケアで長く休めない方にとっても、「なるべく早く日常に戻りたい」という気持ちに寄り添いやすい治療コンセプトと言えそうです。
治療法を選ぶときに押さえたいポイント
AFの治療は、人によってベストな選択が変わります。自覚症状の強さや続いている期間、心臓そのものの状態、ほかの病気の有無など、さまざまな要素を専門的に評価する必要があります。そのため、どの治療が向いているかを決めるのは、心臓の電気的な異常を専門とする「心臓電気生理」の分野の医師による判断が重要になります。
PFAも含め、「この治療が絶対に一番」と一方的に決めつけるのではなく、医師による診察や検査で現在の状態をきちんと把握してから、自分に合う治療について相談していく流れが勧められています。心房細動が疑われるサインとして挙げられている、動悸、脈の乱れを感じる、人よりも異常に疲れやすい、といった自覚がある場合は、自己判断で様子を見るより、早めに医療機関を受診した方が安心です。
特にタイで生活していると、暑さや仕事のストレスなど、「なんとなく体調が悪い理由」はたくさん思い当たりがちです。ただ、その中に心房細動のサインが紛れている可能性もゼロではありません。気になる症状が続く場合は、「年齢のせい」「疲れのせい」と決めつけず、一度専門の医師に相談して、診断と適切な治療方針の説明を受けることが大切です。
まとめ
心房細動(AF)は、もっともよくみられる不整脈のひとつで、動悸や脈の乱れ、原因のはっきりしない疲れやすさとして表れることがあります。放置すると、一時的に出たり消えたりする段階から、続きっぱなしの慢性的なAFへ進行し、心不全や脳卒中のリスクが高まる可能性があるため、軽く見ないことがポイントです。
新しい治療技術であるPulse Field Ablation(PFA)は、高電圧の電気をマイクロ秒単位で与えることで、異常な心筋細胞をピンポイントでねらい、周囲の組織への影響を抑えながら、比較的短時間で治療を行うことをめざしています。ただし、どの治療が適しているかは一人ひとりで異なるため、心臓電気生理の専門医による評価と、丁寧な相談が欠かせません。心臓のドキドキやリズムの乱れを感じたら、そのサインを見逃さず、早めに医師へ相談することが自分の体を守る一歩になります。
よくある質問(FAQ)
Q1. 心房細動(AF)かもしれないとき、どんな症状に気づきやすいですか?
A1. 心臓がドキドキと激しく打つ、鼓動が不規則で落ち着かない感じがする、理由がはっきりしないのに疲れやすい、といった自覚がAFのサインとして現れることがあります。
Q2. 心房細動を放置すると、どのようなリスクがありますか?
A2. 一時的に出たり消えたりするAFから、続きっぱなしの慢性AFへ進むことがあり、その過程で心不全のリスクが高まったり、心臓内にできた血栓が原因となる脳卒中(脳梗塞など)の危険が増す可能性があります。
Q3. Pulse Field Ablation(PFA)はどんな治療法ですか?
A3. PFAは、高電圧の電気エネルギーをマイクロ秒単位という非常に短い時間だけ与え、心房細動の原因となる異常な心筋細胞だけを選択的に傷つけることをめざす、新しいタイプの治療技術です。
Q4. PFAが周辺の臓器に配慮した治療といわれる理由は何ですか?
A4. PFAは電場を利用し、強い熱や極端な冷却を用いない方法のため、横隔神経や食道、静脈など、心臓の近くにある組織への影響を抑えられるよう工夫されている点が特徴とされています。
Q5. 自分にPFAが向いているかどうかは、どうやって決まりますか?
A5. AFの状態や持病の有無などを含めた総合的な評価を、心臓電気生理を専門とする医師が行い、そのうえで適切な治療法を判断します。気になる症状がある場合は、自己判断せずに医師に相談し、診断と治療の選択肢について説明を受けることが大切です。
参照元:โรงพยาบาลรามคำแหง
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