タイ在住日本人向け:糖尿病対策アプリSAANSOOKとは
バンコク働き世代の1人に11人が糖尿病に…タイ発健康管理アプリ「SAANSOOK(สานสุข)」とは?
バンコクで働いていると、つい残業や会食が続いて、運動や食事管理は後回しになりがちですよね。そんな働き世代のリアルな健康リスクとして、バンコクでは「働く人の11人に1人が糖尿病」というデータが報告されています。
この背景を受けて、タイで新しく登場したのが、非感染性疾患(NCDs)のリスク低減を目指す健康管理アプリ「SAANSOOK(สานสุข)」です。タイの公的機関と大学が共同開発した、ホリスティックな健康管理をサポートするデジタルツールについて、ポイントをまとめます。
バンコクの働き世代とNCDsリスクの現状
สำนักงานกองทุนสนับสนุนการสร้างเสริมสุขภาพ(สสส.:タイ健康増進財団)のデータによると、タイ人の死亡原因の第1位は非感染性疾患(NCDs)で、全死亡原因の81%を占めています。仏暦2567〜2568年(2024〜2025年ごろ)にสสส.とマヒドン大学が実施した第7回国民健康調査では、タイ国内で約320万人がNCDs発症のリスクを抱えていることが示されました。原因として、甘い・脂っこい・塩分の高い食事、喫煙、アルコール摂取、運動不足といった生活習慣が挙げられています。
さらに、仏暦2568年(2025年ごろ)にバンコクを対象に行われた「勤務形態と健康行動・NCDsとの関連」に関する調査では、バンコクの働き世代約400万人が週35時間以上働いており、運動不足で、野菜と果物の摂取量がタイ国内で最も少ないという結果が出ています。注目すべきなのは、こうした働き世代のうち「11人に1人が糖尿病」であり、その一部は自分が糖尿病であることに気づいていないと報告されている点です。
働き盛りの世代が、NCDsによる病気や早期死亡に直面している現状は、タイの社会・経済にも影響します。だからこそ、日々の生活のなかで、無理なく継続できるヘルスケアの仕組みづくりが重要になってきています。
「SAANSOOK」アプリとは?タイ公的機関と大学が共同開発
この状況を改善するため、สสส.とมหาวิทยาลัยเทคโนโลยีพระจอมเกล้าธนบุรี(キングモンクット工科大学トンブリ校:มจธ.)が共同で開発したのが、健康管理アプリ「SAANSOOK(สานสุข)」です。働き世代を中心に、NCDsの予防と健康増進を促すためのデジタルツールとして位置づけられています。
สสส.の基金マネージャーである นพ.พงศ์เทพ วงศ์วัชรไพบูลย์ 氏によると、「SAANSOOK」はDOPA-Driven Strategy(Data-Driven, Outcome-Driven, Partners-Driven, AI-Driven)という方針のもとで開発されています。データに基づいて健康状態を把握し、その結果(アウトカム)を重視しつつ、さまざまなパートナーと連携し、AIも活用していく戦略です。
アプリは、個人の健康管理だけでなく、組織単位での活用も想定されています。個人向けには、日々の生活のなかで「食事」「睡眠」「運動」「リラックス」という4つの行動をトラッキングし、NCDsリスクの把握と改善をサポートします。組織向けには、従業員の健康データを集約・分析し、健康増進プログラムの企画に活かせる仕組みが用意されています。
「SAANSOOK」は、iOSとAndroidの両方で無料ダウンロードが可能で、一般の人も企業・団体も利用できます。สสส.は、仏暦2569年(2026年)の10月までに5,000人のユーザーと50以上の組織での活用を目標にしています。
アプリ「SAANSOOK」の5つの主要機能
มจธ.の学長である รศ.ดร.สุวิทย์ แซ่เตีย 氏は、「SAANSOOK」を“バランスの取れたホリスティック健康管理のための、日常使いできるツール”と表現しています。体重維持、減量、筋肉量アップなど、利用者それぞれの目的に合わせて活用できるよう設計されており、その核となるのが5つの主要機能です。
Holistic Health at a Glance & Health Score
1つ目は「Holistic Health at a Glance & Health Score」。身体の状態や健康バランスを、ひと目で分かるビジュアル(Visualization)で表示する機能です。
この評価には、ラマティボーディ病院の医学部と共同開発した評価ツールが用いられており、NCDsリスクに関わる行動を測定し、リスク低減に向けたアドバイスを示すことを目指しています。数値やスコアだけでなく、全体のバランス感を見られるのが特徴です。
My Snapshot Diary(写真ダイアリー機能)
2つ目は「My Snapshot Diary」。写真ベースのヘルスダイアリーとして、毎日のインプットとアウトプットのエネルギー(In / Outtake)を記録していきます。
食事内容や運動の様子などを写真で残すことで、自分がどれくらい食べて、どれくらい体を動かしているのかを視覚的に振り返ることができます。目標設定やメモも一緒に残せるので、自分だけの「健康フォトコレクション」を作りながら、行動の変化や進捗を確認しやすくなっています。
Personal Guru(パーソナルガイド機能)
3つ目は「Personal Guru」。個々の利用者に合った健康知識や選択肢を提示する、パーソナライズされたアドバイス機能です。
専門家の知見に基づき、より自分にフィットした健康管理の選択肢を提案することで、無理なく続けやすいスタイルを見つけるサポートをします。自分で情報を探し回る負担を減らし、「今の自分には何が合っているか」を考えるきっかけになります。
Doable Integrated Challenges & Gamification
4つ目は「Doable Integrated Challenges & Gamification」。日常の健康行動と連動した、取り組みやすいチャレンジをアプリ内に組み込んでいるのが特徴です。
ゲーム感覚の要素を取り入れることで、食事・運動・睡眠・リラックスといった行動を「やらなきゃ」から「やってみよう」に変えていく狙いがあります。現実的に達成可能なチャレンジを通じて、楽しく継続しやすい環境づくりを意識しています。
Corporate Health Intelligence Platform
5つ目は、企業向けの「Corporate Health Intelligence Platform」。組織全体の健康状態を把握・管理するためのプラットフォームです。
ダッシュボード機能により、従業員の健康データを集約し、全体の傾向を分析できます。それをもとに、社内向けの健康チャレンジを簡単に設計・実施できる仕組みも備わっており、企業が健康経営やウェルビーイング施策を進める際のベースとして活用できるようになっています。
企業・行政での活用と、働き方×健康の未来像
アプリ「SAANSOOK」は、すでに企業や行政の現場での活用を見据えたツールとして注目されています。
บริษัท เจ.เอช.อุตสาหกรรม จำกัด の副社長である ดร.วิภาภรณ์ เกียรติอำนวย 氏は、このアプリによって、従業員の健康増進をより的確かつ体系的にサポートできると期待を述べています。アプリから得られる健康データを分析し、従業員のグループごとに合った健康プログラムを設計することで、長期的な医療費負担の軽減や、働きやすい職場環境づくりにもつなげていけるとしています。
バンコク都庁・保健局の健康増進部門ディレクターである ดร.พญ.สุธี สฤษฎิ์ศิริ 氏も、「SAANSOOK」を全セクターの人材の健康モニタリングを具体化する重要ツールと評価しています。デジタル技術を活用することで、健康サービスへのアクセスをしやすくし、評価の精度を高め、特にNCDsのリスク低減を意識した継続的なセルフモニタリングを後押しする役割が期待されています。
また、タイのテレビ局第3チャンネルのニュースキャスターである นายอติรุจ กิตติพัฒนะ 氏は、自身の仕事の中で、日々の体力・気力の消耗を実感している立場から、SAANSOOKを“健康のバディ”として活用しているとコメントしています。食事・睡眠・運動・休息のバランスをアプリを通して意識することで、健康管理への向き合い方が「面倒な義務」ではなく「日常の一部」に変わったと語っています。
個人にとっては、自分のペースで続けられる健康管理ツールとして。企業や行政にとっては、健康的な職場づくりや人材ケアの一環として。「SAANSOOK」は、働き方と健康を両立させたいタイの働き世代に寄り添うプラットフォームとして、今後コミュニティ形成へと広がっていくことを目指しています。
なお、詳細や問い合わせは、LINE OA「@SAANSOOKTH」やFacebookページ「SAANSOOKTH-ดูแลสุขภาพแบบมือโปรกับสานสุข」で受け付けています。
まとめ
バンコクでは、働き世代の11人に1人が糖尿病を抱え、NCDsがタイ人の死亡原因の約8割を占めるなど、生活習慣に起因する健康リスクが大きな課題になっています。こうした状況のなかで登場した「SAANSOOK」は、食事・睡眠・運動・リラックスを総合的にチェックし、個人と組織の両方のレベルで健康づくりをサポートするアプリです。
ビジュアル化された健康スコア、写真ダイアリー、パーソナルなアドバイス、ゲーム感覚のチャレンジ、企業向けダッシュボードといった機能を通じて、NCDsリスクを意識しながら日常的なセルフケアを続けやすくすることを目指しています。タイで働きながら、自分らしいペースで健康を整えたい人にとって、チェックしておきたいデジタルツールのひとつと言えそうです。
よくある質問(FAQ)
Q1. 「SAANSOOK(สานสุข)」アプリは誰が開発したのですか?
A1. 「SAANSOOK」は、สำนักงานกองทุนสนับสนุนการสร้างเสริมสุขภาพ(สสส.)とมหาวิทยาลัยเทคโนโลยีพระจอมเกล้าธนบุรี(มจธ.)が共同で開発した健康管理アプリです。
Q2. 「SAANSOOK」アプリの主な目的は何ですか?
A2. 働き世代を中心に、食事・睡眠・運動・リラックスといった行動を総合的に管理し、非感染性疾患(NCDs)のリスク低減と、バランスの取れた健康づくりを支援することを目的としています。
Q3. 「SAANSOOK」ではどのような健康データをチェックできますか?
A3. アプリは、食事(インプットのエネルギー)、運動などの活動量(アウトプットのエネルギー)、睡眠、リラックスの4分野に関する行動を記録・可視化し、健康スコアやアドバイスの形で提示します。
Q4. 個人だけでなく、企業や組織でも「SAANSOOK」を利用できますか?
A4. はい。企業・組織向けには「Corporate Health Intelligence Platform」が用意されており、従業員の健康データをダッシュボードで分析し、社内向けの健康チャレンジや健康増進プログラムの設計に活用できるようになっています。
Q5. 「SAANSOOK」アプリは有料ですか?どの端末で使えますか?
A5. 「SAANSOOK」は、一般ユーザーも組織も無料で利用できるアプリとして提供されており、iOSおよびAndroidの端末でダウンロードして使うことができます。
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